木管楽器にとって、リード選びは重要な作業です。同じように吹いても、リードの微妙な違いで、音色が変わったり、吹きやすさが変わったりするからです。 クラリネット の リード は1箱に10枚入って販売されていますが、同じ箱のリードでもいろいろな違いがあります。
最高のクラリネットリードに出会うために
クラリネットリードを選ぶ前に知っておきたいこと
クラリネットと聞いた時に誰もが思い浮かべるのがB♭クラリネットです。B♭クラリネットのリードは箱単位で売られています。一般的なものは一箱に10枚入っています。
例えば、初心者から上級者まで、プロのクラリネット奏者にもアマチュアのクラリネット奏者にも使われているのがバンドーレン社のトラディショナル(通称「青箱」)ですが、これは2,800円くらいです。
別の種類や違うメーカーのリードも一箱3,000円ほどします。前述の通り、クラリネットのリードは一箱に10枚入っていますが、同じ箱から出した10枚のリードでも、削り方やティップの厚さなどの微妙な違いで、音色や吹きやすさがかなり違います。
10枚全部が自分には合わないという残念なことが起こる可能性もあるくらいです。リード選びは、好みの音色や演奏する曲目でも違ったりしますから、他のクラリネット奏者が好まないリードでも自分には合うという場合もあります。
クラリネットのリードを選ぶ時は、自分が好む音色、自分の吹き方、演奏する曲が求める音質を考慮することになります。
クラリネットリードの部位と特徴
クラリネットのリードには表と裏があります。裏(マウスピースに合わせる部分)をフェイシングと言います。フェイシングはほとんど気にすることはありませんが、吹いていて雑音が気になる場合は、この部分が平らではないことが原因かもしれません。
表はそれぞれの部位によって厚さや削り方が違います。根元の部分(リガチャーがくる部分)が「ヒール」です。ここは削られていませんから、リード全体の厚みがわかります。薄いほど明るく澄んだ音になり、厚いほど深みのある豊かな音になります。
先ほどのバンドーレン社の青箱のリードのヒールは2.8㎜です。同じメーカーでも「銀箱」と呼ばれているV12はヒールが3.15㎜になります。
ヒールの上の部分は指の爪のように見えます。この部分を「ヴァンプ」と言いますが、ヴァンプの形によってクラシック向きやジャズ向きなどにわかれます。ヴァンプの根元が加工されているものを「ファイルドカット」、加工されていないものを「アンファイルドカット」と呼びますが、クラシックや吹奏楽にはファイルドカットを使うのが一般的です。
一般的に販売されているのは「ファイルドカット」が多いですが、リコ社のリコはアンファイルドカットでジャズクラリネット奏者に人気です。
そして、爪のような形に削られているヴァンプの先端が「ハート」です。この部分の削りの傾斜がきついと音程を保ちやすいですが、なだらかだと音の移動がしやすいです。
最後がリードの先端で「ティップ」です。ヒールと同じように音色に違いがでます。ティップが薄いほど音の立ち上がりがよく柔らかい音色になり、厚いほどしっかりとした音色で音量も大きくなります。
先ほどのようにバンドーレン社の青箱と銀箱で比較すると、ティップの厚さは青箱だと0.09㎜で銀箱だと0.10㎜です。たった0.01㎜の違いですが、このわずかな厚さの違いでも息の入れやすさや音色の違いがでてきます。
クラリネットリードの選び方と保管方法
まず、箱から全てのリードを出し一日ほど空気にさらします。そして、その後10枚全てのリードを試し吹きします。この段階で吹きやすいとか息が入らないといったことがわかりますから、極端に吹きにくいリードはよけます。
その数日後によけたリードを除く全てのリードを再度試し吹きします。この時に、本番用とか練習では使えるといったような厳選を行います。
ただ、本番用に選んだものでも本番まで全く使わずに温存させておくのはよくありません。吹きやすさを安定させるためには1日に15分程度使うのがいいと言われています。それから、リードは専用のリードケースにしまうことで長持ちします。
吹いて水分を含んだリードは特にティップなどの薄い部分が波うったりして変形しやすいです。ケースに入れてまっすぐにしておくことで形状を保つことができます。また、リードの寿命は1ヶ月と言われます。
1枚のリードで吹きつづけると、どれだけ好きなリードでも1ヶ月ほどでダメになってしまいますが、好みのリードを3枚くらいローテーションさせて使っていると、好きなリードを長持ちさせることができます。
まとめ
最高のクラリネットリードに出会うために
クラリネットリードを選ぶ前に知っておきたいこと
クラリネットリードの部位と特徴
クラリネットリードの選び方と保管方法