「【段位獲得のために必要なこととは?】剣道に日々励む人へ(前編)」では、剣道初段から三段までのご説明をいたしました。後編では、剣道四段から八段取得までのご説明をいたします。
剣道 八段という 段位 に関しては司法試験の合格率よりも低い0.8%前後となっています。
【段位獲得のために必要なこととは?】剣道に日々励む人へ(後編)
- 目次 -
四段と五段
次に四段と五段です。四段は「三段受有後3年以上修業した者」で「剣道の基本と応用を修熟し、技倆優良なる者」、五段は「四段受有後4年以上修業した」で「剣道の基本と応用に錬熟し、技倆秀なる者」が取得できます。
審査科目は、初段から三段までと同じで実技、形、学科です。
初段から三段までと異なるのは、実技審査において剣道の基礎が問われる内容だったものに加えて、応用技の熟練度や勝負の歩合などが審査されます。また形でも太刀の形7本と小太刀の形3本と、初段から三段までの段位とは異なります。
学科試験では剣道修行場の目的と心構えに加えて、審判員や指導の心得などの問題も含まれます。
ただ稽古に打ち込むだけでは解ききれない問題も多く出てくるので、過去問と解答例にしっかりと目を通しておきましょう。その上で規定に沿ってあらかじめ解答を作成し、実技審査合格発表後に提出します。
昇段審査は初段から三段までと同じく都道府県剣道連盟が行い、年間で4回ほど開催するところが多いです。
それぞれの審査料は四段7,000円、五段9,000円です。登録料は四段が13,000円、五段が17,000円が相場です。
四段、五段は指導者や審判員になるために必要な段位であることから、より自分や剣道に対して客観的な視点、かつ的確な知識を身につける必要があります。
そのためそれまでの段位に比べると合格率も三割程度減るなど、その難しさから大きな壁を感じる人も少なくありません。
実技試験でもただひたすらに打ち込むだけでは不十分で、相手の動きに合わせ、駆け引きをしながら、ここぞという時に相手を釣り出し、一気に打ち込んで決める、といった応用技を駆使しないとこの段位の壁を突破するのは難しいでしょう。
六段から八段
最後に六段から八段について紹介します。
六段は「五段受有後5年以上修業した者」で「剣道の精義に錬達し、技倆優秀なる者」が取得することができます。七段を取得するためには、「六段受有後6年以上修業した者」剣道の精義に熟達し、技倆秀逸なる者」にならなければなりません。
剣道の現在最高段位である八段は「七段受有後10年以上修業し、かつ、年齢46歳以上の者」で「剣道の奥義に通暁、成熟し、技倆円熟なる者」になる必要があります。
審査科目はこれまでの段位と異なり、学科審査はありません。六段および七段は実技と形を、八段は第一・二次実技と形が審査科目となっています。
実技では初段から五段までの着眼点に加えて、「理合」(剣道における正しい筋道)と「風格・品位」が求められます。形は太刀の形7本と小太刀の形3本です。
昇段審査は都道府県剣道連盟ではなく、全日本剣道連盟が審査します。年間の審査会の開催頻度は全国の開催地すべてを合わせると六段は8回、七段は7回、八段は4回です。
審査料の平均は六段が14,000円、七段が17,000円、八段20,000円です。登録料は六段が47,000円、七段60,000円、八段100,000円が相場となっています。
六段から八段は、段位の審査員、全日本剣道連盟の委員に必要不可欠な段位でもあることから、他の段位と一線を画する段位です。
審査内容やそれにかかる料金から見てもその取得は難しく、実際の合格率も、六段は20%前後、七段は17%前後、そして八段に関しては司法試験の合格率よりも低い0.8%前後となっています。
取得のために必要なのは、初段から五段で身につけてきたものに加えて、より剣道に対する理念です。実技であれば、先んじて主導権を握って攻めの機会を作り出し、その自分が作り出した一瞬の機会を逃さずに確実に相手に打ち込むことが求められます。
相手と駆け引きをしながらも相手に惑わされない筋の通った動きをして、打つタイミング、それ以外の対処の仕方を的確に瞬時に行う必要があります。
なぜならどんな相手であっても自分の剣の道をつらぬかなければ、その判断と実行はできないからです。自分が剣道においてどのような道を歩みたいのか、その理想像を描かなければすぐに相手に振り回され、主導権を握られてしまいます。
そのため自分の中での理想像をしっかりとイメージした上で、剣道指導者とその理想像が正しいかどうか、それに近づくためにはどうしたいいのか、常に客観的に自分の剣道を見てもらいながら日々の稽古に励むことが、六段から八段という段位において必要不可欠な要素となります。
まとめ
【段位獲得のために必要なこととは?】剣道に日々励む人へ(後編)
四段と五段
六段から八段