ビジネスに活かすため、自分自身の生活設計のため、また、生涯学習の一環としてなど、FP(ファイナンシャルプランナー)の資格取得を目指す人の目的はさまざまです。そのFPのなかでも、『取得しやすい国家資格』として注目されているのが FP 3級 です。
ここではその 合格率 について、詳しくご紹介したいと思います。
人気の国家資格FP3級。その合格率は?
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FP3級は、FP技能検定の入門編
どのような試験を受ける場合でも、その合格率というのは、受験する人にとってはとても気になるデータだと思います。
先に結論から言ってしまうと、FP3級(正式には3級FP技能検定)の合格率は、数ある国家資格の中でもかなり高いほうであり、『取得しやすい国家資格』であると考えられえます。
「スキルアップのために国家資格を取りたい!でも、いきなり難しいのはちょっと…。」という方や、「特に仕事に活かそうというわけではないけれど、今後の人生設計を考える上で、少しでも金融や不動産についての知識を増やしておきたい。」という方など、入門的なレベルで資格の取得を目指す方には、FP3級の合格率の高さは魅力的と言えるでしょう。
気になるFP3級の合格率は?
FP3級の試験には、学科試験と実技試験とがあり、その両方に合格することで、3級FP技能士の資格を取得することができます。
ここ数年のそれぞれの合格率を見てみると、学科と実技のどちらも、高いときでは70%台後半、低いときでも60%台、平均すると70%前後となり、国家資格としてはかなり高い合格率であることがわかります。
また、FP試験では多くの人が学科と実技を同時受験するのですが、この同時受験者についても、ここ数年の平均がおおむね70%という高い合格率になっています。
FP3級の試験を実施しているふたつの機関、その合格率には違いがある?
FP3級の合格率を細かく見ていく上で、触れておかなければならないことがあります。それは、FP3級の試験は、『日本FP協会(FP協会)』と『金融財政事情研究会(金財)』という二つの異なる機関によって実施されているということです。
FP3級の試験では、『学科試験』については、FP協会、金財のどちらも全く同じ出題内容であり、合格基準も同じです。ただし、『実技試験』に関しては、FP協会と金財で受けられる種類が異なります。
実技試験については、内容が違うのですから、FP協会と金財とで合格率に差が出るのは当然ありうることですが、実は学科試験においても、このふたつの機関では合格率が異なっているのです。同じ問題、同じ合格基準なのに、なぜ合格率に差が出るのでしょうか。
FP協会と金財、学科試験の合格率
一例として、2016年9月に実施された学科試験のデータを見てみましょう。FP協会発表のデータでは、合格率は69.21%、一方、金財の合格率は55.08%と、かなりの差が出ています。
この数字だけを見ると、『金財のほうが難しい?』『FP協会のほうが受かりやすいのでは?』という誤解を招きそうですが、同じ日に、同じ内容の問題で実施し、合格基準も全く同じなのですから、けっしてどちらか一方が難しいということはないはずです。
それでもふたつの機関で合格率に大きな差が出るということは、金財で受験する人よりもFP協会で受験する人のほうが、学習のレベルが高い、つまり受験までにより多くの勉強をしている、ということが言えるでしょう。
これにはいくつかの理由が考えられますが、ここでは、『合格率が違うからと言って、どちらか一方が受かりやすい、受かりにくい、というわけではない』ということをお伝えしておきたいと思います。
少なくとも学科試験については、FP協会と金財のどちらで受験しても、条件は同じということです。
FP協会と金財、実技試験の合格率
前述したように、FP協会と金財では、FP3級の学科試験の条件は全く同じですが、実技試験については、受験できる内容が異なります。
FP協会で受験できるのは、『資産設計提案業務』という試験で、金財で受験できるのは、『個人資産相談業務』と『保険顧客資産相談業務』という2種類の試験です。
全部で3種類ある中からどの実技試験を受けるかは、合格率よりも、自分が学びたいことは何か、どのような職業に従事するか、などによって決めることになるかと思います。ですが、参考までにそれぞれの合格率を見てみましょう。
FP協会の『資産設計提案業務』試験では、おおむね80~90%台で推移しており、かなり合格しやすい試験であると言えます。
一方、金財で受験できる2種類の試験は、『個人資産相談業務』が高いときで80%台、低いときは50%台となっており、『保険顧客資産相談業務』では高いときで70%前後、低いときでは40%台となっています。
どちらも実施回によって合格率にかなりばらつきがありますが、総じてFP協会の実技試験よりは低い数字となっていることがわかります。
合格率が高いからといって油断は禁物です
FP3級の合格率は、おおむね70%前後、国家資格としてはかなり取得しやすいレベルである、とご紹介しましたが、だからといって『じゃあそんなに勉強しなくても大丈夫』と油断しないほうがよいでしょう。
というのも、FP3級の合格率、特に学科試験の合格率は、数年前に比べ、近年ではじわじわと下がってきているからです。これは、FP協会、金財のどちらの試験結果でも言えることです。
FP試験は1年間に3回実施されているのですが、これを平均して1年ごとの合格率を計上すると、たとえばFP協会であれば、2011年では81.62%、2012年が85.09%、2013年は82.83%、2014年80.13%、2015年78.70%、そして2016年では71.47%となっています。
金財の場合も、2014年は66.07%、2015年が63.82%、2016年では55.29%と、右肩下がりの結果になっています。合格率が下がりつつある原因ははっきりとはわかりません。
年々受験者も増加していますので、安易な気持ちであまり学習せずに受ける人が増えて合格率を下げているのかもしれませんし、問題そのものが難しくなり、得点しにくくなったのかもしれません。
いずれにしても、合格率が下がる傾向にあるということをふまえ、必要な学習をきちんとしたうえで試験に臨むのが賢明と思われます。
まとめ
人気の国家資格FP3級。その合格率は?
FP3級は、FP技能検定の入門編
気になるFP3級の合格率は?
FP3級の試験を実施しているふたつの機関、その合格率には違いがある?
FP協会と金財、学科試験の合格率
FP協会と金財、実技試験の合格率
合格率が高いからといって油断は禁物です